Amazon Bedrock Agentsとは
Amazon Bedrock Agentsは、AWS上でAIエージェントを構築・デプロイ・運用するためのフルマネージドサービスです。基盤モデル(FM)の選択、ツール連携、メモリ管理、マルチエージェント協調をAWSのインフラ上で統合的に提供します(AWS, 2025)。
Bedrock Agentsの最大の強みは「AWSエコシステムとのネイティブ統合」です。Lambda、S3、DynamoDB、CloudWatch、IAMなどの既存AWSサービスとシームレスに連携でき、すでにAWSを利用している企業はエージェント基盤の構築コストを大幅に削減できます。新規にインフラを設計する必要がなく、既存のセキュリティ・監視・権限管理をそのまま活用できます。
Bedrock Agentsの5つの主要機能
1. AgentCore:エージェントのライフサイクル管理
AgentCoreは、エージェントの構築からデプロイ・運用・スケーリングまでのライフサイクル全体を管理する基盤です。
2. マルチエージェント協調
Bedrock Agentsは、スーパーバイザーパターンによるマルチエージェント協調をネイティブにサポートしています。
[スーパーバイザーエージェント]
├─ タスクの分解と割り当て
├─ サブエージェントの結果統合
└─ 全体の品質管理
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┌────┼────────┐
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[検索エージェント] [分析エージェント] [文書生成エージェント]
スーパーバイザーエージェントが全体のタスクを分解し、専門化されたサブエージェントに割り当て、結果を統合します。各サブエージェントは独立して動作し、失敗時のリトライもスーパーバイザーが管理します。
3. RAG(Retrieval-Augmented Generation)
Knowledge Basesと連携し、企業のドキュメント(S3にアップロード)をベクトルDB化して、エージェントが参照できるようにします。
4. コード解釈(Code Interpretation)
エージェントがPythonコードを動的に生成・実行し、データ分析、計算、グラフ生成を行う機能です。ユーザーが「売上データの月次トレンドをグラフにして」と指示すると、エージェントがコードを書いて実行し、結果を返します。
5. メモリ保持
セッション間のコンテキストを保持する機能です。顧客対応エージェントが「先月の問い合わせの続きですが……」と尋ねられた場合に、過去の会話コンテキストを参照して応答できます。
他のプラットフォームとの比較
AWS環境でのエージェント構築パターン
パターン1:カスタマーサポートエージェント
ユーザー → Bedrock Agent → Lambda(顧客DB照会)
→ Knowledge Bases(FAQ検索)
→ Lambda(チケット作成)
← 回答+対応結果
パターン2:データ分析エージェント
ユーザー → Bedrock Agent → Athena(データクエリ)
→ Code Interpreter(分析・可視化)
→ S3(レポート保存)
← 分析結果+グラフ
パターン3:業務自動化マルチエージェント
ユーザー → Supervisor Agent
├─ 受注エージェント → Lambda(注文DB)
├─ 在庫エージェント → Lambda(在庫DB)
└─ 配送エージェント → Lambda(配送API)
← 統合処理結果
Bedrock Agentsの料金体系は「モデル呼び出し+ツール実行+ストレージ」の従量課金です。マルチエージェント構成ではスーパーバイザーとサブエージェントの全呼び出しが課金対象となるため、エージェント数が増えるほどコストが増加します。本番導入前に負荷テストでコスト見積もりを行い、必要に応じてキャッシュ戦略やリクエスト数の最適化を検討してください。
まとめ
Amazon Bedrock Agentsは「既存のAWS環境を活かしてエージェントを構築したい企業」にとって最も効率的な選択肢です。AgentCoreによるライフサイクル管理、スーパーバイザー型マルチエージェント、Knowledge BasesによるRAG——この3つの機能を組み合わせることで、エンタープライズグレードのエージェント基盤を迅速に構築できます。まずは単一のカスタマーサポートエージェントから始め、段階的にマルチエージェント構成に拡張してください。