4月の概要:「自律か協調か」の答えが出た
2026年4月、エージェンティックAIは第2章に入りました。2025年の「単一エージェントをどう作るか」から、2026年は「複数エージェントをどう協調させるか」に課題がシフトしています。GartnerがTop 10トレンド第4位に「マルチエージェントシステム」を選出したことが、この変化を象徴しています(Gartner, 2025)。
プロトコル収斂:3つの規格が「役割分担」へ
2025年後半の「プロトコル戦争」は、2026年Q1に入り収斂の兆しが見えています。
クラウドベンダーのマルチエージェント基盤が出揃う
2026年Q1、主要クラウドベンダーのマルチエージェント対応が一通り出揃いました。
Google Cloud:ADK+A2A+Cloud Runの統合基盤
Google CloudはAgent Development Kit(ADK)を中心に、6カテゴリのAIエージェント(顧客対応、従業員支援、クリエイティブ、データ分析、コード開発、セキュリティ)を展開しています。A2Aプロトコルによるクロスベンダー連携と、Cloud Runによるスケーラブルなデプロイを統合した基盤は、マルチクラウド環境でのエージェント運用を想定した設計です(Google Cloud, 2025)。
AWS:Bedrock AgentCoreとSupervisor Agent
AWSはBedrock AgentCoreで「デプロイ・運用・管理」のライフサイクル全体をカバーするアプローチを取っています。特にSupervisor Agent機能は、複数のサブエージェントを統括するオーケストレーションパターンを標準化しました。RAG、コード解釈、メモリ保持の3機能を統合し、エンタープライズ向けのマルチエージェント基盤として最も包括的な選択肢の一つです(AWS, 2025)。
基盤選定は「どのLLMを使うか」ではなく「どのオーケストレーション層を選ぶか」で決まる時代になりました。2026年度の基盤選定では以下の3点を評価基準にしてください。(1) マルチエージェント対応のネイティブ度、(2) A2A/MCPプロトコルへの対応状況、(3) 既存クラウド環境との統合容易性。
Gartner 3テーマが示す2026年後半の方向性
Gartnerの2026年Top 10トレンドは3つのテーマに分類されています。
日本企業への提言:2026年Q2のアクションプラン
Deloitteの調査では、42%の企業が「まだAIエージェント戦略を策定中」、35%が「戦略すらない」状態です。一方で、Dellのように早期にROI規律を導入した企業は2桁改善を達成しています。2026年Q2は「戦略策定」のフェーズではありません。すでに先行企業が成果を出している段階で、まだ戦略がない企業は「2年遅れ」のリスクを抱えています(Deloitte, 2025)。
Q2の具体的アクション
- 基盤の確定——クラウドベンダーのマルチエージェント基盤を評価し、Q2中に選定を完了する
- プロトコル対応の確認——A2AまたはMCPへの対応を技術要件に含める
- パイロットの本番化判定——2025年に開始したパイロットの成果を定量評価し、本番移行または中止を決定する
- マルチエージェント設計の着手——本番稼働中のエージェントを起点に、2つ目のエージェントとの連携パターンを設計する
5月の注目ポイント
- Google I/O 2026——A2Aプロトコルの次期バージョンとADK進化
- 日本政府のAI戦略2026改定——エージェント規制の方向性
- 製造業マルチエージェント実証結果——フィジカルAIの初期成果レポート